第16回 血液検査について4(検血その他)

今回は、血液検査の結果の最後のシリーズです。最後は、CRPと赤血球、白血球、血小板などについてお話してみます。

CRP : C Reactive Protein (C反応性蛋白)といいます。肺炎双球菌という細菌のある部分と反応する蛋白質として発見されましたが、実際には体の中で急性炎症が起こると上昇するマーカーとして使われています。熱が出てしんどいとき、骨折や怪我をして体に負担がかかるとき、また膠原病という難病にかかったりするとこのCRPが上昇してきます。なんだか体がしんどくてご飯が食べられないといったとき、このマーカーが高くて後で述べる白血球も上昇していると体に細菌あるいはウィルス感染が起こって炎症が起きていることが示唆されます。この炎症の程度によって外来治療でいけるのか入院治療が必要なのかなどの判断にも使われますし、この数値を追いかけることで治療効果を見ることもできます。

RBC : 赤血球数です。赤血球は、体の細胞の隅々に酸素を送り届けるのが仕事です。この数値が低ければ貧血ということになりますが、勿論Hb(ヘモグロビン)、Ht(ヘマトクリット)という数値と併せて貧血か否か判断します。貧血にもいろいろなタイプがあり、同時に測定するMCV(赤血球の体積です)が高く、貧血であれば大球性貧血といいビタミンB12や葉酸の欠乏、慢性肝疾患、甲状腺機能低下などを疑いますし、MCVが低く、MCH(赤血球の鉄分の量です)が低ければ鉄欠乏性貧血を疑います。いろいろな組み合わせで貧血のタイプを調べることができます。

WBC : 白血球数です。体外からの感染に対し立ち向かう免疫という仕事を担っています。細菌が相手であれば好中球という成分が増えて戦いますし、ウィルスというものが相手であればリンパ球が増えて戦います。アレルギーを呈す方の場合、好酸球という成分が増えます。抗癌剤の投与を受けている場合、白血球数が低下して細菌やウィルスに感染しやすくなり隔離が必要になったり、移植などを行うと免疫を抑制するのでリンパ球が減ってやはり感染しやすい体になるので人ごみを避けるなど必要になります。

Plt : 血小板です。わかりやすくいうとかさぶたを作る働きをしています。出血を止める機構は複雑でいろいろな成分が関与していますが、この血小板はその中でも中心的な働きをしています。増えすぎることはあまりなく、減る場合はいろいろな状態を考えなければなりません。急性白血病をはじめ特発性血小板減少症、慢性肝炎などでも血小板の数は減少します。また、皆さんの中でも内科の先生から血をさらさらにする薬としてバイアスピリンやバファリン81などの薬を処方されている方もおられるかと思いますが、これは血小板の固まる力を阻害する副作用を利用して血栓がおきにくくしているのです。

4回にわたって血液検査結果の見方を書いてきました。勿論もっと詳しい検査はいくらでもありますが、一般的にスクリーニングとして外来でされる検査は以上のようなものだろうと思います。高価な血液検査をしてもらったが何のためにしたのか、説明してもらったがよくわからないというときこのコラムを読み返していただければ幸いです。自分の健康は自分で守る、我々医師はそのお手伝いをしているだけなのです。