第27回 ジェネリック医薬品について

2回続けて、医療崩壊について書いてきました。書き出した頃は、“えらいこっちゃ”という新聞読者の危機感をあおるニュースが溢れていましたが、最近は、少し冷静になってきたように思います。医療崩壊については、まだまだ色々な問題があり、書き出すと止まりませんが、最近マスコミも“みんなで協力してこの危機を乗り切りましょう”という論調に変わってきましたし、政府もようやくこのままではいけないと考え出したのか、予算を含め色々と対策を講じ出しました。まだまだ絵に描いたもちという面はありますが、少しでも私たちが住みやすい、安心して暮らせる医療体制になって欲しいものです。

さて今回は、最近患者さんからジェネリック薬品はどうですか?とよく聞かれます。今回は、ジェネリック薬品について私なりの考えを述べたいと思います。コマーシャルで効き目は同じで値段は半分という宣伝を目にされたり、耳にされたりしたことがあると思います。ジェネリック薬品とは、何でしょう。新しく開発された薬(先発品)がある期間(特許期間)を過ぎると他のメーカーもその薬と同じものを作れるようになります。これを後発品、ジェネリックといい、開発費や宣伝費などがかかっていない分、安く作ることができ、安く売ることができるとされています。そのため、極端な場合薬代が半分という宣伝になるのです。

しかし、ここにはうそがあります。まず、すべての薬が半分の値段になるわけではないということです。我々が普段患者さんによく服用してもらう薬(先発品)の特許が切れたばかりの頃は、薬価(薬の値段)は約3割しか安くなりません。また、逆に長く使われている薬はどんどん値段が下がってきて、(国は、2年に1回薬の値段を改定しますが、2年ごとに少しずつ安くなります。) 先発品とジェネリックの値段の差はほとんどなくなります。つまりジェネリック薬品を選んだからといって必ず期待するほど値段が安くなるわけではないということです。

しかし、大事なことは別にあります。ジェネリック薬品は、効き目が同じというわけではありません。有効成分が同じというだけのことです。例えば最近、前立腺肥大の代表薬の特許が切れ、ジェネリック製品がたくさん市場に出てきました。ある医師がそれらの薬の溶出試験(薬が体に入ったときにどのくらいの速さで溶け出すかという試験)を行ったところ先発品と同じものはひとつとしてなかったというのです。国に試験結果として出すときには先発品と同じですという結果を出すのですが、その後はチェックをしていないということだと思います。ちなみに先発品は、いつでも同じパターンを示したそうです。同じような話は、内科の先生からもよく聞きます。ジェネリックにすると血圧の下がり方が悪くなった。期待したほどコレステロール値が下がらない。恐らく、溶出試験の結果のようなことが起こっているのだろうと思います。

勿論このようなことばかりではないと思います。信頼できる効果の高いジェネリック薬品は多いと思います。問題なのは、皆さんはジェネリックというだけでどのメーカーのジェネリックかわからないということです。信頼できるジェネリックメーカーもあるでしょう、しかし、中には聞いたことのないメーカーもあり本当にちゃんと作れているのかわからない例もあると聞きます。勿論このようなことばかりではないと思います。信頼できる効果の高いジェネリック薬品は多いと思います。問題なのは、皆さんはジェネリックというだけでどのメーカーのジェネリックかわからないということです。信頼できるジェネリックメーカーもあるでしょう、しかし、中には聞いたことのないメーカーもあり本当にちゃんと作れているのかわからない例もあると聞きます。

キャベツに長野産、北海道産、大阪産と表示があるようにジェネリックを勧めるならどこのお薬かを明示してもらいたいものです。そして、先発品の値段が高いというなら、現在は政府が薬の値段を決めていますが、メーカー側にもジェネリック製品と同じ値段をつける権利も与えるべきではないでしょうか?先発品がジェネリックと同じ値段、あるいは近い値段ならお金だけでジェネリックにする必要はなくなります。それより、ジェネリックならではの独自で飲みやすい剤型や味、使いやすさで勝負してもらいたいものです。

効き目は同じ値段は半分ではなく、効き目は同じ飲みやすさは2倍の方が我々にはありがたいと思います。