第35回 クリニック5周年

新しい年が始まり、日本の景気も少し薄日が差してきたこの頃ですが、私どものクリニックも産声を上げてはや5年が経ちました
朝早くから急変した患者さんを嫌な顔せず受け入れてくれた労災病院のY先生、癌が発見され落ち込んだ患者さんを励ましてくれたM先生、いつも的確な治療をしてくれるN先生をはじめ、入院治療が必要な患者さんのケアをしてくれる労災病院のスタッフの皆さん、クリニックの最前線で患者さんと応対してくれる医療事務担当のUさん、Tさん、いつもニコニコ顔で患者さんのケアをしてくれる看護師のUさん、Kさん、そしてなにより私を信用して?通院してくださる患者の皆さんに支えられて、何とかここまでやってくることが出来ました。心からお礼申し上げます。

最近特に思うのは、自分ひとりがハッスルしても診療というものはうまくいかず、スタッフや患者さん一人一人が自分のなすべきことをしっかりとこなすと、ジグソーパズルがぴたっとはまるようにうまく病気がよくなるように思います。例えば、怪我をした患者さんが、傷の治療に来られたとします。
私が一生懸命、消毒、ガーゼ交換をしても患者さんが通院をサボってしまっては何時までたっても傷はよくなりません。患者さん自身が良くなろう、傷を早く治そうと思って通院してくれないと良くなりかけた傷がまた悪化してしまいます。
看護士さんはその患者さんが通院する気持ちを起こさせるようにサポートせねばなりませんし(不思議なことに患者さんは、医師の言うことより看護師さんの言うことをよく聴くようです。)受付は、患者さんが気持ちよく通院できるようにお手伝いをせねばなりません。
そして皆の仕事がうまく廻ると傷も良くなっていくということです。

こんな当たり前のことに気がつくまで5年かかりました。
正しい診断と正しい治療を提供するのは当たり前のことですが、プラスアルファ気持ちよく治療を受けてもらう、満足して家に帰ってもらう、そしてあそこに行けば何とかしてもらえるというクリニックを目標に次の5年、10年を過ごしていきたいと思います
ある名店の店主が、“サービスとは、お客様の希望をかなえることだ。
お客様のご希望は何なりとお聞きします。”とインタビューで話されているのをある記事で読んだことがありますが、我々の医療は、同じサービス業とはいえ少し違うと思います。
患者さんに良くなってもらいたいと思えば、本人には耳の痛いこともあえて言わねばなりませんし、辛い検査も受けていただかなくてはなりません。耳触りの良いことばかり言っていられないのです。ただ、私は、一方的に検査をしたり、生活指導をするのではいけないと思います。なぜ検査が必要なのか、検査の結果何をしなくてはならないのかをしっかりと理解していただくのが私の仕事ですし、それが出来なければ、私たちの存在意味がないとも思います。私どもも、一生懸命やりますし、患者さんも一生懸命努力していただく。この50-50の関係が良い医療を作っていくと信じて止みません。