第38回 インフルエンザワクチン

暑さ寒さも彼岸までの言葉通りに、お彼岸が過ぎてからようやく涼しくなり、過ごしやすくなりました。
クリニックのご近所の百舌鳥八幡神社のふとん太鼓祭りも、JR阪和線近辺各地のだんじり祭りも無事終了しようやく秋本番という感じです。

これからは、いよいよインフルエンザの季節です。
10月1日から堺市でもワクチンの接種が始まりました
今年のワクチンは、例年の季節性インフルエンザと昨年猛威を振るった新型インフルエンザの両方のワクチンが含まれており、昨年のように2回接種せねばならないということはありません。
季節性インフルエンザは、例年厚生労働省とWHOが今年はやりそうなインフルエンザウィルスを予想し、それに対するワクチンを各製薬メーカーが製造しますが、今年はA香港型とB型が選ばれています。例年入っているAソ連型が流行ると困りますが、大丈夫という判断なのでしょう。この2種に新型インフルエンザを加えた3種類のワクチンを1回の接種で予防しようということです。

インフルエンザワクチンは、受精した鶏卵(受精卵)にそれぞれのインフルエンザウィルスを感染させ、受精卵の中でウィルスを増殖させます。その後、受精卵からウィルスを取り出し濃縮し、このままでは感染力があるのでエーテルという化学物質でウィルスを壊して不活化(感染力をなくすこと)した後、有効成分だけを取り出し製品になります。

ワクチンを接種すると皆さんの体の中で、免疫という外敵を排除する機構が働いてワクチンに対する抗体が作成されます。ワクチンそのものは、インフルエンザウィルスの一部ですから、ウィルスにたいする免疫が出来るわけです。この時過度に免疫が働くと微熱や倦怠感などが出ていわゆるワクチン接種後の副反応(副作用)といわれる現象が起きます。しかし、この準備が出来ると次に本当にインフルエンザウィルスが体内に入ってきた場合、すぐに免疫が働いてインフルエンザウィルスを排除してくれるわけです。通常この免疫が完成するのに2-4週間位かかりますからインフルエンザが流行してから接種しても間に合わないことがあります。また、一般にワクチンは、80-90%の確率で抗体を作ってくれますが、人によっては、うまく抗体が出来ないでインフルエンザウィルスを排除できない場合もあります。ワクチン注射したのに何でインフルエンザにかかるんやーというのはこういう場合です。

ワクチン接種でかなりの確率で感染を予防できるのですから、是非予防接種を受けられてはいかがでしょう?

でもそれでもインフルエンザにかかった場合はどうすれば良いのでしょうか?
とにかく仕事、学校を休む。これは、自分自身を守ると同時にほかの方を感染から守るという意味があります。次に感染後48時間以内ならタミフルやリレンザなど抗ウィルス剤が効果があります。
今年は、更に1回の吸入でよいイナビルや注射薬も使えるようになり我々が使える武器もずいぶん増えました。でも一番の治療は、水分をしっかり取り、とにかく休むことです。熱が出て脱水傾向が強くなると体がへばります。十分な水分を取りましょう。へばった体は、インフルエンザウィルスの絶好の増殖場所になります。免疫を高めるためにも無理をせずとにかく寝ましょう。

でも一番は、予防です。ワクチン接種、よく寝て、よく食べて、手洗い、うがい、基本的なことを守って今シーズンも、インフルエンザにかからず、元気に過ごしましょう。