外陰部のいぼ:尖圭コンジローマ
性器、肛門やその周囲にピンク色、褐色、黒色などのイボができるのが尖圭コンジローマです。形状で一番多いのが特徴的な”鶏のトサカ”のような形ですが、カリフラワー状であったり乳頭状であったり様々な形態を取ります。原因は、ヒトパピローマウィルス(HPV)という病原体が皮膚や粘膜の小さな傷から侵入し皮膚の基底細胞に感染することです。そして、数週間から数か月かけてイボを形成していきます。HPVには、多くの種類があり、その中の一部の弱毒ウィルスが尖圭コンジローマの原因になるとされていますが、中には子宮頸癌や陰茎癌の原因になる強毒ウィルスも混合感染していることが報告されおり、性器に尖圭コンジローマができた際は、自分だけではなくパートナーの婦人科、泌尿器科、または皮膚科への受診が強く勧められます。性行為時に直接接触して感染することがほとんどですが、まれに医療従事者や両親の手指や器具を介しての感染経路も報告されています。また、出産時にお母さんから赤ちゃんに感染することもあり、赤ちゃんの喉にイボができて呼吸困難の原因になることもあります。そのため、妊婦さんが尖圭コンジローマに罹っている場合、出産までに治療を完了させるか帝王切開を考慮することが必要になります。
治療は、イミキモドクリームや健康保険では適応外ですが5FUやブレオマイシンなど抗癌剤を含む軟こうなど外用薬を塗る方法や外科的に電気メスで切除、焼灼する方法、液体窒素で凍結して取り除く方法、炭酸ガスレーザーで蒸散させる方法などがあります。尖圭コンジローマの大きさ、場所、数などで使い分けています。
尖圭コンジローマにならないようにするためには、HPVワクチンの接種が最も有効であるとされています。現在、女性の子宮頸癌の予防に対して認められていますが、男性の尖圭コンジローマを予防する効果も認められており、自費にはなりますが接種することができます。そして、性行為時にはコンドームを使用することです。コンドームは、尖圭コンジローマを100%予防することはできませんが、その他の性病の予防もでき、有効な方法です。また、複数のセックスパートナーを持つことも尖圭コンジローマの罹患するリスクを高めますが、それだけでなくHIV、梅毒など他の性病の原因にもなります。自分の家庭やパートナーを守るためにも自覚ある行動が求められています。もし、ご自分の外陰部にコンジローマを疑うイボを見つけた際には、泌尿器科、皮膚科、あるいは産婦人科を受診してください。